====== 忘れられない夢をまた見た ====== 昨晩は旧実家にいる夢を見た。 それは今に至るまで何十、何百回と見た夢。 いくら忘れようとしていても、子供時代の思い出と共に蘇り続ける夢だ。 その夢の中で僕は、すでに知らない人の手に渡ったはずのその実家を買い戻し、亡くなった人々と楽しく暮らしていた。 冬は雪深い場所にあるその家で、永遠のサマータイムを過ごしているうちに、外の世界のことなどすっかり忘れて、本当の意味で一日を繰り返していた。 それはまるで等身大のドールハウス。 いつか僕が死んだら、この魂はあの家に呼ばれるのだろうか? 死後の世界や魂のことなど本気で信じちゃいないが、もしそれらが存在していたら、あんな薄暗い木々に囲まれた屋敷ではなく、どこか遠い世界へ飛んで行きたいものだ。 今夜はあの夢を見ないよう願いながら、瞼を閉じよう。 懐かしいあの日々はもうないのだから。