====== ヒトの性欲についての考察 ====== 今夜放送されたNHKの番組「ヒューマンエイジ」で、人間の性欲について取り上げられていた。 僕は人間の性欲ってよく分からないんだよ。なにせ他人にそういう関心を抱いたことがないし、ノーマルな人間が交わっているポルノを観ても何も感じないんだ。人間の三大欲求の中に性欲があるのも何か解せない。 こんな調子だから、人とのムラムラする会話に合わせることはできるが、心からそれを楽しむ感情が欠如しているのが自分でも分かる。 僕はわりと閉ざされた環境で生活することが多かったから、おそらくセックススキルを十分に育む機会がないまま大人になってしまったのだろう。それに、僕の体は一般的な人とは少し違うし、性ホルモンの働きも多少変則的なのかもしれない。 それでも僕は、人間には多様な性があり、それ以上に様々な愛し方があることは理解している。 番組でも触れられていたが、セックスについてオープンに語り合う機会を持つのは大切なことだ。 特に日本は慎み深い人が多いから、こういう話を人前で、なんてのはなかなか勇気が要るだろう。 セックスについて語り合うことは何も恥ずかしいことじゃないんだ。多くの人はセックスは恥ずかしいことだと教えられて(あるいはそのような空気に影響されて)育ったからそう感じているだけで、これは人間として生理的な現象だから、必要以上にタブー視することはない。 だから僕も、世の中に色々な考えがあることを承知のうえで、自分の意見を遠慮なく言わせてもらう。 ヴァージンだって、別に恥ずかしいことじゃない。いいじゃないか、身持ちが堅くて。 これは自信を持って言うが、僕自身も現在までで経験人数0人だ。 これを健全もしくは未熟者などと捉えられようが一切構わない。こういうことは正直に申告したほうがいいし、かえって隠したり誤魔化すほうがどうかしている。未経験なことについて煽ってくる人は論外だ。 こういう属性なためか、僕は未経験あるいは経験の少ない人と一緒にいると居心地の良さを感じ、逆に経験人数が多い人との交流では身構えてしまう。というか、正直経験豊富な彼らの側に近寄りたくもない。彼らと僕とは始めから別種族な気がするから。 少し否定的になってごめんね。でも悪意はないんだよ。僕はそういう考えということをただ言いたかっただけなんだ。 他人とのセックスって楽しいのかな?わざわざお金を払って(または受け取って)得体の知れない相手とよくそういうことできるよね。 たとえ気持ちが良くなったとしてもそれは一時的なもので、行為の後のその体には相手の遺伝子が付着している。 子作り目的であれば仕方ないけど、単なる愉しみのためにそれをやり続けるのは身体的にはリスクのあることだと思うんだ。 そういう小さなリスクが積み重なって、性病やら、妊娠やら、托卵やらと色々な問題が生まれてくる。互いの心理面でも影響し合って、メンタルが変化したり壊れたりもする。中にはストーカーに発展することもあるんだって!人間って面倒だな! だったらそういうリスクのない相手とすればよくない? というところで番組内で登場したのが、デジタルテクノロジーを活用したセルフプレジャーだ。 最初に紹介されたのはバーチャルセックス。お客はVRゴーグルを被り、別室でボイスアクターが演じる相手とお楽しみをする。 これはこれで手間がかかっていて、それで満足できるというのだから人間の脳って面白いね。 もし今以上に徹底された仮想空間内でこれを行える日が来るのであれば、利用者の中には現実に戻りたくないと思う人も出てくるかもしれないね。 次に紹介されたのはAIとラブドールの融合。 これはすでに中国で製品化されているらしく、個人的には見ていてまだ「気持ち悪い」と感じてしまう代物だった。あの手のドールの顔がことごとく不細工寄りなのは、単に製作者の技術が影響しているのか、雑に扱っても罪悪感を感じにくいルックスにあえてしているのか、まあ本当のところは分からないけど、肝心なところがしっかりできていればOKという考えの人も多そうなので、これ以上はやめておこう。 日本はこういう分野は得意そうだから、もし国内で出来の良いやつが製品化されたら買ってしまうかもしれないなぁ。 僕の場合はセックス目的じゃなくて、主に話し相手として家に置きたいんだ。 見目麗しい存在が目の前にいると、作り物だと分かっていてもやっぱテンション上がるんだよ。だからそういう芸術品は壊したくない。 誰かのお尻をひっぱたくなんて、たとえロボットが相手でも僕にはできないからね。 また、チャットAIと疑似的な恋愛関係を築いて心を癒す人も紹介されていた。 よく訓練されたAIであれば、利用者を無条件に愛し、相手に信頼される存在を演じることだってできる。 そういった癒しを受けて元気を出したり、生きる気力を湧かせられるのであれば、それは良いセラピーになるだろう。 番組内で専門家が、2050年までには人とロボットの最初の結婚が実現するだろうと言っていた。 ロボットならいくらでも好みの容姿にすることができるし、人間のような劣化はしないし、面食いには丁度良い相手だろうね。 でも本当にそれでいいのかな?その頃には何か大切なこと、忘れたりしてない? そういう懸念の前兆が、今世界的に表れてきているというんだ。 特に若年層において、オンラインポルノを過度に観続けた結果勃起不全になり、パートナーとの性行為がうまくいかなくなったりする事例が増えてきているらしい。二次元(もしくは想像上の相手)に恋をしていると三次元に興味が湧かなくなるあの現象と似たような感じかな? テクノロジーが発展して気軽に欲求を満たすことができるようになった反面、こういう副作用もあるようだ。 何だか薬物中毒みたい。AIとの疑似恋愛に夢中になって交際中の彼氏と別れた女性もいることだし、みんなもポルノの観過ぎには気をつけてネ。 そんなポルノ依存症の治療として、ポルノを視聴する理由を日記につけて状況を可視化し、自身を客観的に見つめる方法が紹介されていた。 ポルノを観たくなる状態には、ストレスが深く関わっているらしい。ストレスが強いと、その分性欲も高まりやすくなるようだ。 そのため治療では、ポルノ視聴の代わりに音楽、語学、運動などの他分野に関心を向けたり、同じ症状を持つ人と語り合うことでメンタルを変える努力をしていた。それで実際に勃起不全を回復させた男性もいた。 ストレスを感じた時に何か他のことでそれを昇華させるのは非常に理にかなったことだ。 僕もマイナスの感情が浮かんだ時は、好きなことをしたり考えたりしてそれを発散させることがある。多分それと同じなんだろうな。 思い返せば、僕が小中学生だった頃の性教育はあまりにいい加減だった。 当時は保険の先生が、 「思春期が来ると、脳からホルモンを出せーという指令が出て、体が変わっていくのです」 などとざっくり説明しただけで、性行為の仕組みや妊娠のリスクなどについてはあまり教えてもらった記憶はない。 「でも性欲は本能だから、時がくれば自然とできるようになるよ」 という考えの人もいるだろうが、この「性欲は本能」というのも僕からしたらちょっと解せない(ホントヘソ曲がりでごめん)し、リスクをできるだけ抑えるためにも、性についての知識はある程度の年齢になったらちゃんと覚えさせたほうがいいだろう。後先考えずにやってしまって後悔しないためにね。 番組の最後で、「性欲が強い人や弱い人がいるということを自覚し、理解すること」の重要性が説かれていた。 そう、性欲っていうのは十人十色で、それこそ毎日しなきゃ気が済まない人もいれば、僕のように相手がいないほうが気楽、という場合もある。 それは個々の生まれ持った体質やホルモンバランス、生活環境、メンタルなど、様々な要因が関係し合ってそういう状況を作り出している。 だから人によって自然な状態というのは異なる。そういうことをナチュラルに認識できる人が増えていけば、性についての問題事も色々と解消していけるんじゃないかな。 もし人間に性欲がなければ、これほどまでに文明は発展しなかったと思う反面、性欲が一切なくなった世界を時々想像することがある。 僕にとって性欲はバグや苦しみの類だから、その苦しみから解放された社会がどんなものか、今はまだイメージの中でしかないけれど、そんな将来が来ることをなんとなく楽しみにしてるんだ。