====== 全ゲノム検査の結果を自己分析してみた ====== [[+tab|blog:2024:08:3001|数か月前にGENEXに依頼した全ゲノム検査]]の解析が完了し、数日前に結果レポートの要約版を郵送で、要約版と詳細版のデジタルデータをPDFで受け取った。 この全ゲノム解析では、各染色体に含まれている遺伝子の変異について知ることができる。 人は多かれ少なかれ変異があるのは当たり前で、僕の場合は全部で1000個近い変異を確認できた。 変異が多いからといって「異常が多い=病気を沢山持っている」というわけでなく、むしろ通常生活においてそれほど深刻ではない場合のほうが多い。 しかし中には国の特定疾患に指定されている疾患などに関わる、憂慮すべき変異が見つかる場合もある。 以下は僕のケースを例として、そういった変異から関連性の高そうな先天性疾患を特定するための方法だ。 この方法で疾患を絞り込んだ後の最終的な診断については、専門医に頼ることをお勧めする。GENEXから提供されるデータは医学的根拠に基づいているため、これらのデータを医師に見せることでスムーズな理解を得られることができるだろう。 ---- {{:blog:2024:12:2024122101.png|}} 上記は、僕の解析結果の中で「病的(分析的妥当性ある程度高い)」と判定された変異の一つだ。この「精子形成不全18」という遺伝子変異を詳しく知るうえで重要な項目は、上記の「あなたに見られた個性」の中にある以下の4つだ。 🧬**染色体番号:** どの染色体に変異遺伝子があるかを、chr1~chr22(常染色体)、chrX(X染色体)、chrY(Y染色体)、chrM(ミトコンドリアDNA)で表す。 🧬**関連する遺伝子:** 各遺伝子に割り振られた名前。 🧬**推定される遺伝子型(配列の組):** ヘテロ接合は片方の親から受け継いだ変異(保因性)、ホモ接合は両方の親から受け継いだ変異。 一般的に__ホモ接合かつ特定の変異状態(一塩基変異体、マイクロサテライト、重複、欠失など疾患によって様々)と病原性の程度によって高リスクとなる__が、ヘテロ接合の場合でも軽微な影響が出たり、同じ遺伝子内に複数のヘテロ接合変異があることで高リスクとなったり、ヘテロ接合の場合に限り高リスクとなる場合もある。 「ヘテロ接合(non-ref)」は、標準配列や検出された変化とは異なる別の変化を起こしていることを示す。 また、__それらの変異遺伝子が常染色体優性遺伝である場合は、ヘテロ接合であっても50%の確率で遺伝し、発症する。__ 🧬**日本人における頻度:** 健康な日本人5.4万人(2024年12月時点)の中でこの変化を持つ割合。N/Aは未確認であることを示す。 上記の情報を踏まえて[[+tab|https://www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/variation/2627626/|添付のURL]]からこの遺伝子変異について調べると、Classification(分類)がPathogenic(病原性)であることが分かる。さらにCondition(状態)の[[+tab|https://www.ncbi.nlm.nih.gov/medgen/C4539783|リンク]]を辿ると、その疾患についての詳細(関連遺伝子や臨床的特徴や研究報告など)を見ることができる。 ---- ここまででこの先天性疾患の概要が大体把握できたが、一つ気になることがある。 それは、この遺伝子型がヘテロ接合であるにもかかわらず、要約版で優先的に記載されているということだ。 不妊症には様々なバリエーションがあり、精子形成不全はその一つに過ぎない。精子の奇形を引き起こす原因遺伝子があるならば、それ以前の、例えば器質やホルモンバランスを制御する機能などにも異常がある可能性があるのではないか。 それを確かめるために、詳細版のファイルを開き、「ホモ接合」と検索した。ホモ接合は両親から受け継いだ変異で高頻度で発症する傾向があると言われているため、自覚症状と照らし合わせれば疾患の特定がしやすいと考えたからだ。 そして抽出された沢山のホモ接合型変異遺伝子の情報を、日本人における頻度が比較的低い(およそ5%未満)ものに絞って1つずつ調べ、それらをツリー型のテキストエディタでリスト化した。 そうして出来上がったリストの疾患を関連付けていった結果、「原発性繊毛運動障害」という先天性疾患を特定することができた。 {{:blog:2024:12:2024122102.png|}} 原発性繊毛運動障害(DNAH5ほか複数変異あり)の症状の中には男女共通の不妊症が含まれており、僕はこの変異がホモ接合だ。以前からこの疾患に関連する幾つかの自覚症状があり、家系的にも心当たりがあったので、僕が不妊症であることはこれで確定できた。また、仮に子供を設けることができたとしても、この不妊体質がその子に受け継がれる可能性があるということも分かった。 その他にも血液、心臓、副腎、目、性機能などに関連する複数の先天性疾患を見つけることができたため、これらのデータを参考にしながら、今後の生活習慣の改善などに役立てていきたいと思っている。 ---- 不妊症と聞くと驚かれる方もいるかもしれないが、僕にとっては「やはり」という感じだった。加えて、性分化疾患の可能性が高いという結果にも合点がいった。これで長年気になっていたことがだいぶ解消され、さらに前に進めそうだ。 ホルモンなどの分泌物の数値や、性染色体の正確な数や種類に関しては専門機関で診察を受ける必要がある。また十分な意欲が湧いたら、実際に病院へ行き、これらのことを知る努力をしてみたい。 僕にとって全ゲノム検査は心身に良い結果となった。 これからもこの体と共に、自身にとって有意義な人生を送れるようにしていきたい。