成人でも受けられる染色体異数性検査を探していて、今月(8月)上旬にseeDNAで遺伝性疾患リスク検査(新型出生後検査)を提供していることを知った。
この検査では、21、18、13トリソミーの他に、性染色体の数的異常や、その他の染色体の異数性も検出可能だ。ここまでの一括スクリーニングをしてくれるところは、今の日本ではなかなか珍しいだろう。
そこで早速その日のうちにその検査を申し込み、2日後に検査キットが届いた。
検体の種類は採取しやすい口腔上皮を選択。その他にも血液や切った爪や鼻をかんだティッシュなど、様々な検体を選ぶことができた。
口腔上皮では先端がギザギザになっている2本の綿棒で頬の内側をこすり、組織を採取する。再検査にならないよう、綿棒を回転させながら念入りに採取した。
seeDNAでは、遺伝カウンセリングを受けなくても、オンラインで申し込んで検体を送るだけでNIPTや血縁鑑定などの遺伝子検査をしてくれる。このようなサービスは、遺伝子に起因する症状があって医師に相談済みでありながら遺伝子検査を断られた人や、遺伝カウンセリングを受けられる施設が近所になく、確定診断に繋げることが難しい人などにとっての強力なサポート手段となるだろう。
現に僕も、自身の性分化疾患やその他の染色体異常の疑いを明らかにするために、今回このサービスを利用させてもらった。
この前の遺伝カウンセリングでは染色体の核型検査を受けさせてもらえなかったので、せめてスクリーニングという形で大まかでも知っておきたいと思ったんだ。
土日祝日を挟んで検査キットが会社に到着し、そこで検体到着の報告メールをいただいた。
そして翌日に検査開始のメールをいただき、それから休日を含めた16日後に結果報告のメールが届いた。
スピード鑑定であればもっと早く結果が届いただろうが、僕の場合は急ぐことではなかったので、気長に楽しみに待っていた。
結果は、全ての染色体において、染色体異数性の可能性は低リスクという評価だった。
各染色体にはZスコア(Z値)という数値が記載されており、一般的にこの値が0に近いほど染色体異数性のリスクが低く、3に近いほどトリソミー(同じ染色体が三本)の可能性が高く、-3に近いほどモノソミー(同じ染色体が一本のみ)の可能性が高いという見方になっている。
Zスコアの基準範囲は検査会社によって異なり、以下は2025年8月現在、seeDNAで設定されている値だ。
染色体異常の種類 | 評価保留 | 高リスク |
---|---|---|
21、18、13トリソミー | 2.5↑ | 2.8↑ |
その他の常染色体トリソミー | 4↑ | 6↑ |
X(ターナー症候群) | なし | -3↓ |
XXX(トリプルX症候群) | なし | 3↑ |
XXY(クラインフェルター症候群) | なし | 3↑ |
XYY(ヤコブ症候群) | なし | 3↑ |
なぜ21、18、13染色体とその他の常染色体とで基準範囲(閾値)が異なるかということについて検査会社に問い合わせたところ、「検出項目ごとに検査の感度が異なるため」との回答をいただいた。
このことについて調べた結果、21、18、13トリソミーについては生存状態で出産可能な染色体異常であり、症例や検証データが豊富であるため、比較的検出の精度が高いらしい。逆にそれ以外の常染色体トリソミーでは、まず生きて生まれてくることが稀であり、大抵は流産か死産となるため出生後のデータが少なく、前述の3つの染色体よりもシビアな閾値に設定されていることが多いそうだ。
そのような考察を踏まえて自身の検査結果を見てみると、先に述べた通り全て低リスクではあったものの、X染色体と常染色体の一部において少し気になる振れ方が出ていて、それらの異常の臨床的特徴に当てはまる状態に幾つか心当たりがあったため、これについてはいずれ明らかにしたいと考えている。
ちなみに僕の母親はお産に2回失敗(1回目は流産、2回目は卵巣での子宮外妊娠による卵巣摘出)しており、長年に渡る不妊治療を受けて3回目の妊娠で僕が生まれたので、このような経緯もおそらく関係しているのかもしれない。
また、今回のようなNIPTに類する検査では、三倍体などの全体的な染色体の倍数性や、転座、逆位、モザイク、片親性ダイソミーなどの特殊なケースを検出することは難しく、これらを知りたければG-Band法などの核型検査を受ける必要がある。
個人的には核型検査を強く希望しているが、現在個人でそれを申し込めるサービスはなく、7月に遺伝カウンセリングを受けたばかりなので、今後も確定診断に至れるエビデンスを集めていきたい。