地獄の一丁目?にお邪魔した夢
昨晩は恐ろしい夢を見た。
ショッピングモールのような間取りのどこかの大学の地下で、僕は掃除をしていた。
自分の左の手の平の中に、小さなヒトデのようなものと、その周りに広がる小さな浜辺を認めた時、掃除が一段落したことを悟った。そしてそこから去ろうとしたら、ふいに辺りの景色が変化した。
そこは和風の畳敷きの大広間で、天井は暗く、沢山の黒い長テーブルがあり、その周りに大勢の人が正座で着席していた。彼らはみな無表情で暗い色の服を着ていて、ここに居ると自分までそうなってしまうと直感した。
僕はその部屋から急いで出た。
開け放たれたふすまの外に出た時、和服を着た女性が、
「今ならまだ間に合うからね」
などと言った。おそらく帰りのことを話していたのだろう。
そのふすまの外は、白と金の装飾があしらわれた光り輝く洋風の廊下で屋根がなく、まるで天空に浮かぶ通路のようにも見えた。左横には手すりのない幅2メートルほどの下り階段があり、駆け下りようとしたら途中で階段がなくなっていて、そのまま5メートルほど落下した。痛みや怪我はなかった。
そして途切れた階段の近くにある煌びやかなエレベーターの前まで来ると、後ろから5~6名の男女がついてきた。彼らもここから帰りたがっているようだった。
僕はエレベーターの▽のボタンを押し、扉を開いた。
だがそのエレベーターは奥行きが50cmほどで、二人乗りだった。
最初に来た僕の他に、おそらく少女らしき女性(以下少女)がそこに一緒に入った。
扉の閉まらないエレベーターはそのまま下っていき、まもなく地上1階に着こうとしていた。
しかしエレベーターはそこをスルーし、地下に入ったところでその壁と天井は消えた。僕たちはエレベーターの床の上に立ちながら、地下へと続く階段の上を滑るように降りていった。
一階分降りるごとに階段の踊り場に現れる光景は段々と恐ろしいものになっていき、血のような壁のシミや、ボロボロの調度品、壊れた電灯の下で動かなくなった人などが見えた。
地下4~5階辺りで、一緒に乗っていた少女が千里眼でも使ったのだろうか、この先の様子を教えてくれた。どうやらかなり酷い状態のようだったので、僕たちは動く床から降りて、地上へ向かって階段を駆け上がった。
その途中で「H1」と書かれた出口があった。僕はここが地上だと確信し、少女と共にそこから外へ出た。
そこは広い広い高架下だった。辺りには店や施設のようなものが並び、そこは乾いたオレンジ色の地面と灰色の空が広がるスラム街のようでもあった。
ここで「H1」とは「繁華街1」の略だということを理解した。同時にここは自分たちがいる場所ではないと悟った僕らは、出口の真後ろにある駅へと向かった。
その駅の周囲には高い建物はなにもなく、まるで関東大震災や東京大空襲の後のようでもあった。
駅ではSL列車が今まさに発車しようとしていた。乗客はいずれも暗っぽい服を着ていて、列車に寿司詰めのような状態で乗っていた。少女も乗ろうとしたが、駅員に阻まれてチェックを受けていた。
僕もそれを追いかけようとしたら、近くにいた女性の駅員に、
「あなたは乗れません」
と言われ、そこで夢は終わった。