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blog:2024:09:1601

ある性別不詳選手の件について

女子スポーツ競技において、性分化疾患の選手が女子最高記録を塗り替えたという事例はこれまでに何度かあった。
僕が昨年までで最も印象に残っているのは、南アフリカ出身の陸上選手であるキャスター・セメンヤ氏だ。
彼女(性染色体の検査結果に関する情報が見つけられなかったので、仮に彼女としておく)には子宮と卵巣と睾丸がないが、体内に精巣が存在し、そのテストステロンの値は一般的な女子の基準を遥かに上回るものだった。

セメンヤ氏の例は非常に珍しかったため、彼女を女性と定義することについては様々な議論がなされた。
結果的に彼女は陸上競技を引退し、その後女子サッカー選手になった。
僕個人の意見としては、仮に男性的な容貌をしていて、テストステロンの値がいくら高かったとしても、性染色体が女性型で、本人に書類上あるいは自認的な面で女性としての要素があれば、その人は社会的に女性あるいは第三番目の区分に入れるのが適切だと考えている。したがってセメンヤ氏は、陸上を続けることを認められるべきだったのではないかと思う。

これはあくまでY染色体を持たない場合の話だ。
では以下の例はどうだろうか。


今年行われたパリ五輪の女子ボクシング66キロ級で金メダルを獲得した、アルジェリア出身のイマネ・ケリフ氏については、世界中で多くの論争が巻き起こった。
ケリフ氏は出生時に女性と判定されたが、成人後の容貌は非常に男性的で、テストステロン値もまた、一般的な女子よりも高かった。そして国際ボクシング協会による性染色体検査では男性型であるXY型が検出された。
彼(生物学的性別に基づき彼と呼ぶ)の性自認は女性で、試合勝利後も「私は女性だ」と主張していたが、彼のSNSアカウントに掲載されている彼の写真を見る限りでは、服装や立ち居振る舞いは男性的であり、イスラム教圏の女性にしてはかなり奔放な生活をしている印象を受けた。
そして、彼はトランスジェンダーではないという。出生時に女性と判定されたため、女性を自認しているのはごく自然なことであるという認識なのだろう。

ここまで聞くとかなり複雑な事例のように思えるが、実際は非常に単純だ。
まず、ボクシングという競技は、陸上競技とは異なり接触型のスポーツだ。この接触型のスポーツには柔道やレスリングなども含まれる。選手同士がぶつかり合うので、当然怪我のリスクもつきまとう。そこに一般的な女性よりもテストステロン値の高い男性的な容貌の選手が参加したらどうなるだろうか。それは今回のオリンピックで非常に分かりやすい形で表された。相手選手の一人が試合の途中で棄権したことで、女子競技に男性が入り込むとどうなるかを考えるきっかけを持たれた方も多かっただろう。
そして、ケリフ氏の性染色体はXYだ。遺伝子レベルで男性という判定が出ている以上、少なくとも女子ボクシングの枠で出場することは、相手選手の安全面や精神面に配慮して控えるべきだと個人的に思う。
稚拙な例えだが、トマトの入った箱の中にキュウリが混ざっていたとしたら、それはキュウリの箱に移してキュウリとして扱うべきだ。たとえ外見をトマトそっくりに変えたとしても、それはあくまでもキュウリなのだから。

僕は性分化疾患の方々やトランスジェンダーの方々を批判したり差別するつもりは全くない。自分自身も曖昧な体で生まれたから、それぞれが自分らしく生きられることを望んでいるし、こうした境遇の人々が変に特別扱いされることなく生活できる社会になって欲しいと願っている。
ただし、スポーツの分野、とりわけ性別によって区別されている競技においては、個々の身体能力が定められたルールの中におさまっているか、注意深く見極める必要があるだろう。

今回IOCは、参加選手の性別については、パスポート上の記載をもとに判別したという。
このルールが将来のオリンピックスポーツにも適用されるとしたら、悲惨な未来が待っているだろう。
女性の権利を手に入れた男性が女子スポーツで女性を蹂躙し、「私は女性だ」と言いながら相手選手の体、とりわけ重要な部分に触れる。それでも本物の女性選手は異議を唱えることはできない。なぜなら相手もまた『女性』であり、下手なことを言えば『彼女』から「人権侵害を受けた」などと訴訟を起こされかねないからだ。

すでにケリフ氏は、ネット上で多数の誹謗中傷を受けたとして、フランスで告訴状を提出している。
ケリフ氏を擁護している人の中には、「ケリフ氏はまごうことなき女性であり、国際ボクシング協会が実施したケリフ氏への性染色体検査には誤りがある」などと指摘している人もいるが、それならばケリフ氏は今一度性染色体検査を受けて、その結果を公表すればよい。そうすれば、場合によっては誤りを正すことができるかもしれないし、今回のようなケースについて、より多くの人が真剣に考えるようになるかもしれないからだ。

アルジェリアはかつてはフランスの植民地だった。そのフランスでは、遺伝子検査は一般的に認められておらず、非常に限定的な場合でのみ実施される。こうしたシステムがそこに暮らす人々のマインドに与える影響は少なくないだろう。
体質よりも情緒を重んじた結果、ポリコレという問題が生まれた。それを単なる遊びにしておけばよかったものの、すでに事態は取り返しのつかない一歩手前にまで及んでいる。

この問題で最終的に割を食うのは本物の女性たちだ。
かつて力強く男女同権を訴えていた誇り高きフェミニストたちはなりを潜め、今やフェミニストの皮を被ったまがいものたちが独自の思想を振りかざしている。それは女性側に偏った男女平等であり、著しい男性嫌悪であり、女性らしい女性たちへの憎しみであり、怠惰や醜さへの賛美であり、反出生主義でもある。
そしてその思想に影響されて被害者となった男性たちが、今度は女性の皮を被って彼女たちに復讐しようとしている。
いつかその復讐が達成された時、その時こそがポリコレの末路と呼ばれるようになるだろう。


2024/11/6追記

パリ五輪女子ボクシング金メダリストの医療報告書が流出!フランスとアルジェリアの病院での検査はXY染色体を持っていると診断され大騒動に!IOCへの批判が殺到してしまう

やはりXYだった。

blog/2024/09/1601.txt · 最終更新: 2024/11/07 by X?-R

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