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blog:2025:07:1702

遺伝カウンセリングを受けに大学病院へ行って来た

前回は、GENEXからの全ゲノム検査結果を受けて、その内容を他の遺伝子専門家にも確認してもらうために、大学病院の遺伝カウンセリングに申し込んだというところまでお話しした。
今回は、そのカウンセリングが完了したのでご報告する。

カウンセリング時間は1時間、担当医は教授で、他に一名の職員の方が同席していた。
まずは教授から生まれてからこれまでの病歴や学歴や職歴などを問われ、僕がそれに回答し、その内容が電子カルテに打ち込まれていった。
次に簡単な診察を受けた。運動の有無や心音、腕の触診、手足の大きさ、関節の可動性や口内の確認を終えると、最後に僕が事前に専門家宛てに送付していた資料の中で、疑問として挙げていた事柄についての説明を受けた。

先に結果を述べると、例の検査の結果について医療従事者の視点から特に注意すべき点は見当たらず、大学病院での新たな検査の必要性もなし、ということだった。
そして教授は、民間の遺伝子検査会社が提示している検査の価格が、一般の大学病院での遺伝子検査と比べると非常に安いことに言及した。
例えば大学病院で一つの遺伝子を調べようとすると、現在では大体4万円の費用がかかる。保険適用の場合もあるが、遺伝カウンセリング料を含めて大抵が自費だ。それに比べて、民間の検査会社では6~7万円で全ゲノムを調べることができるが、そのような安価な検査においては、検査精度について不明な部分(エラー判定の多さなど)もあるということを教授は指摘していた。
上記は教授やその遺伝子診療チームによる見解であり、民間の遺伝子検査会社の評価を下げる意図はないことを付け加えておく。

つまり、民間の遺伝子検査会社から頂いた結果は、あくまでも参考程度に、と考えておいたほうがよさそうだ。これは当の検査結果にもそのように注意書きがされているので、もし少し変わった結果を頂いて、その内容が気になるのであれば、僕が行ったようにその道のプロフェッショナルに相談すると更なる理解が得られるだろう。
個人的には、民間のサービスで、一般人の手の届く範囲の金額であれだけのことが分かるというのは純粋に凄いことだと思った。

今回は自身の特異性を更に探求したいという思いのもとに染色体の数や形を調べる検査を希望していたが、僕の場合はカウンセリングの様子からして、そこまでの検査を行う必要はないと教授は判断されたようだ。なぜなら今の僕は絶好調で、10代や20代の頃よりも心身の調子が良く、もうじき40代だが見た目の若さにも自信がある。今回のカウンセリングではそこそこ上手に受け答えできたし、メンタルも非常に安定していた。

遺伝子診療においても定められたプロトコルがあるため、まずは医師のほうで詳しく診断をするに値するかの判断が必要だ。細かい部分で見ると、もしかしたら医師としては気になる点があったかもしれない。しかし事前資料で自身が不妊症でも問題ないと伝えておいたことも加味されてか、今の僕には確定診断は不要と教授は判断したのだろう。
正直もう少し教授と話したかったが、時間が限られている中でここまでの機会を与えてくれたことに感謝している。

また、少しだけ気になっていた、知的障害や発達障害や学習障害の可能性も気にしなくていいと教授からお墨付きを頂いた。これは自分にとっては大きなことで、もしかすると些細な脳の奇形はあるかもしれないが、過度に心配しなくてもいいのだろうと解釈した。
「お元気で」。最後に教授はそう仰ってくれた。

GENEXの検査結果を受け取ってから、今日まで毎日自身の遺伝子のことを考え続けていた。毎日遺伝子やそれらに関連する病気について調べ、こうかもしれないああかもしれないと思いを巡らしていた。今後はそうすることは減っていくだろう。
つまり僕にとっての本来の日常が戻りつつあるということだ。
このようにして患者の不安を解消することも、遺伝カウンセリングの重要な意義のひとつだということを身をもって体感した一日だった。

遺伝子診療はまだまだ発展途上にある。年月が経てば、やがては染色体異数性検査(G分染法)も自己判断でお金を払えば手軽に受けられるようになるかもしれない。僕はその未来に期待したい。
新たな知識について学ぶ機会を得られたこの期間は、自身の見識を深めるために非常に意味のある時間だった。

blog/2025/07/1702.txt · 最終更新: by X?-R

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