2019年6月1日。私はバスに乗って海沿いを旅行していました。穏やかな風が吹く抜群のコンディションの中で海を眺めていた時に、突如としてこの物語が頭に浮かんだのです。
高度AIがもたらす未来社会の情景と、時を超えて未来に蘇る現代人の数奇な運命。それは普段SF作品やそれらの文献にほとんど触れない私にとっては衝撃的なものでした。その後何も起こらなければ、その話は私の中だけで終わっていたことでしょう。
同年6月10日。その夜まさに眠ろうとしていた矢先に、二度目のインスピレーションが私を貫きました。その時浮かんだ光景は、未来社会のテクノロジーの具体的な部分。例えば、『声なき言葉』の発し方やホログラム体の操作方法、話の中に出てくる各システムの背景説明等もその中に含まれていました。
ここまで大層なイメージを頂いてしまっては動かないわけにはいきません。この話を漫画にしようか小説にしようか悩んだ末に、私にとってより得意なほうで表現することにしました。
そこで私は、この超テクノロジーのインスピレーションをどう『翻訳』しようか考えました。そのインスピレーションには作中の『声なき言葉』のように、言語は一切含まれていませんでしたし、私には専門家ほどの科学の知識はありませんでしたから。おそらく複数の方が私と同じイメージを受け取ったとしても、人によってまるっきり異なる描き方となっていたことでしょう。
私がこの分野に本格的な興味を抱いてそれに関連する情報の収集を始めたのは、この物語の公開を済ませた後のことです。
私はこの物語を執筆するにあたり、一人でも多くの方に最後まで読んでいただけるよう、なるべく読みやすい文体を心がけて執筆しました。そのため明らかに難しいと感じる内容の段落や、自分の翻訳力・語彙力では表現に至らないと思われる部分は本編から省きました。ところどころで「おや?」と思われる個所については、皆さんの想像力に委ねることにします。
物語に彩りを持たせるために、人物やストーリーは小説らしくなるよう肉付けしてありますが、未来社会で目覚めた現代人が、数編の出来事を経て自身を再発見していくという大筋の内容には、最初のイメージ通り変わりはありません。もしこのお話を気に入っていただけましたら、広めていただけると嬉しく思います。
予測不可能なこの世の中だからこそ、本作のような未来が到来してもおかしくはないと私は思います。むしろ可能性は十分あるでしょう。あとは私たちがどの未来を受け入れ、発展させていくかにかかっています。
あなたは、どの未来を生きたいですか?
2019年6月25日 X?-R