この前大学病院で採血を終えた日の翌日に、東京の親戚から電話がかかってきた。
その親戚は母方の叔母で元看護師。母から僕の近況を知り、僕の状態が気になって電話を寄こしたのだ。
僕は病院で血液検査を受けたことや、自身の症状や遺伝子検査の結果から特定の疾患を疑っていることを叔母に伝えた。叔母はよく喋る人で、同時に人の話をよく聞く人でもある。叔母の他にも身内に医療従事者は何名かいるが、中でも医療のことについてはこの叔母が一番話しやすい。叔母自身も病気がちで、医療機関にしょっちゅうお世話になっているから、具合の悪い人の気持ちが人一倍分かるのだろう。
一通りの会話を終えた後に叔母は、
「自分を大切にね」
と僕に言った。なぜそんなことを言うのだろう。僕はそんなに無鉄砲に見えるのだろうか。そこで僕はこう答えた。
「自分を大切にできれば、周りも大切にできる。みんな仲良くなれるね」
すると叔母はこう言った。
「でも一番大切なのは自分だよ。自分を大切にね」
それを聞いた僕は途端に申し訳なくなった。僕はこのようなことを言われるほどに人を不安にさせる存在なのだろうか。
しかし同時に、その叔母に対して感謝の念が湧いた。世の中にはこんな風に僕を心配してくれて、声をかけてくれる人がいるんだ、と。
そして叔母によると、叔母の夫、つまり僕にとっての義理の叔父は、僕が検査を受けることを知った後に僕の症状に当てはまりそうな病気を色々と調べてくれていたそうだ。色んな病名を見つけては、あれも違うこれも違うと呟いていたらしい。
その叔父は昔から僕のことを可愛がってくれていたから、その時も僕のことを心配してそういう行動をしてくれたのだろう。
みんなから気にかけてもらえたのは有難いが、僕はそういう気遣いに慣れていないから、少し悲しい気分になってしまった。こんな奴のことは放っておいてくれていいのにって。
でもここで塞ぎ込んだら折角の成長のチャンスを逃してしまう。
だから素直にありがとうの気持ちを感じて、人間らしさを忘れないようにするんだ。