※こちらでは作中の核心的なネタバレは含みません。
エリル:およそ6500年前から地球に存在していた人々。陶器のように滑らかな肌を持ち、明るい色の目をしている。争いを好まない穏やかな性格だが、人の血液を摂取することで様々な超能力を使うことができる。自然災害から身を守るため、生櫃を作りその中にその身を封印した。
不朽体:何らかの偶発的な事象によって不老長寿となった者が、生櫃に入って生まれ変わった存在。現代エリルの中では純粋なエリルとの適合性が最も高く、純粋なエリルに匹敵するほどの超能力を持っている。その血液は透明度の高いオパールのような輝きを放つため、水晶の血と呼ばれる。
メ:水晶の血との同化に成功し、受益と奉仕を行う者。素直で疑いの心を持たず、直観力や創造性に優れている者が多い。この時点では完全な不死ではなく、成長や加齢が緩やかになり、並みの人間よりも少しだけ身体が丈夫になるに留まる。血液の色は赤みが薄まったピンク色。その特性上、テンシに操られたり、彼らの養分になることがある。
テンシ:選ばれしメが生櫃に入って生まれ変わった存在。成長や加齢は完全に停止し、血液の色は不朽体に近い輝きを放つ。千里眼を持ち、自身よりも意志の弱い生き物を操ることができる。テンシとしての基礎的な強さは元となった生櫃のグレードによって決まり、年月を経るごとにその強さは増していく。
ヲトシゴ:メになる素質を持った人間。
仮人:未使用の生櫃を探し出してそれを処理するために結成された組織。現代に復活したエリルたちを倒す活動も行っている。原則としてエリルの存在を知覚できる者たちで構成され、その任務には常に危険がつきまとう。
深ク果テナキ虚の底
光マブシタ深淵ノ
下ニ散リバム天ノ家
貝ノ螺旋ニ腰カケテ
遠キムカシニ目ヲヤレバ
只仮初ノ故郷ヲバ想フ
最初に今作の原案が思い浮かんだのは、回顧録を出版してからしばらくの後だったと記憶しています。
運命のいたずらで吸血鬼にされた主人公が悪の同胞を倒していく話や、青春真っ只中の若いカップルがそれぞれの立場から吸血鬼と対峙する話。そのような幾つかのプロットが頭の中に思い浮かび、当時は映画トワイライトのような、バトルやロマンスを主軸にした物語を考えていました。
最終的にはバトル要素は非常に少なくなり、登場人物一人一人の掘り下げに主眼を置いた群像劇となりました。
私は群像劇を書くのが好きで、過去作の『あなたは私の手の中に』のような、様々な視点から展開される物語をまた書いてみたいと思っていました。そしてその夢は叶い、完成に向けて様々な調整を行う中で、今作は過去作の多くの要素を内包する作品となりました。
『初恋の手紙』のような恋愛シーンは今作にもあります。
『地下世界より愛を込めて ~未知との出会い短編集~』には、今作に登場する人物たちの前日譚にあたるお話が幾つかあります。
『退廃の鏡像』のような互いに逸脱した関係性をもう一度再現したいと思いました。
『HEY臨寺の夜!』では宗教がテーマで、今作でも信仰が重要な意味を持ちます。
『戒 ミライヘ ヨウコソ』の主人公の境遇は、今作の一部の登場人物の境遇と重なるところがあります。
そして私の回顧録にあります私のこれまでの人生経験をもとに、今作の原稿をブラッシュアップしていきました。結果的に当初想定していたよりもページ数は増え、私自身の色を物語により反映できたと思っています。
この物語は「彼ら」の神話であり、青写真です。
ドラスティックな変化はまさにこれから始まります。
そしてテンシは存在します。ただ多くの人に見えないだけ。
あなたにテンシは見えるでしょうか?もし見えたら、仲良くしましょうね。
この物語がどなたかのお心に残るものになれたなら、これほど嬉しいことはありません。
2026年1月21日 X?-R